2018.10.6 ねえねえ！今度遊び行かない？」 「うん。いいよ」 「最近めっちゃお洒落なお店とか探すの楽しくてさぁ、こことか、ほら！すごく外装可愛いし、しかも美味しそうなご飯！」 彼女はスマホを私に向け、写真をスクロールして見せてきます。 「ほんとだ、美味しそう」 「ふふ、でしょ！そっちは？行きたいとこないの？」 「ない、かな。」 私はあまり外に出る人間ではないから、お洒落なお店など本当に無縁な人間です。 ごめんね、と謝ると彼女は頬を膨らませて言います。 「ほんっとにあんたって子はー自分の意思がないんだから！ちゃんとしてないと彼氏出来ないよ！」 彼氏。その言葉を聞くと私の体は強張ります。 「そう、だよね…」 その理由は簡単です。 ･ 「ゆあー」 「えっ斗真？！」 しばらく話していると、私たちの話しているテーブルに、彼が、やってきました。彼はゆあの彼氏です。そして私の 「あいら」 ビクッ 肩が少し震えます。 「さんだっけ。」 「は、はい。お久しぶり、です。」 「あいらったら緊張しちゃって〜」 「あ、あは。」 ゆあが私の肩をポンポン叩きます。私は必死で笑いました。口角を上げ、目線をそらさないように、ゆあに私の焦りを読み取られないように。 「そろそろ行くぞゆあ。」 「うん！じゃああいら、また後でね！」 「うん。いってらっしゃい。」 笑顔で手を振り見送りました。普通に、出来ていたか。とても不安でした。去っていく2人は手を繋ぎ、仲睦まじそうに話しています。とてもお似合いです。でも、頭の奥の奥の片隅で私が斗真と手を繋いでいるイメージが浮かびます。そんなのは許されない。分かっているのに。 2人の後ろ姿を見ていると、ふと、彼と目が合いました。 隣にいる彼女にバレないように口パクで 「顔に出すぎ」 「…！」 ずるい。そう思うものの、なんにも出来ません。彼はなんでも知っています。その上で私の反応を楽しんでいるのです。 ･ ･ ･ ピコン 通知に気づき、開くとそこにはいつもの文章。 「今日、いつものホテルで」 短いそれだけの文章。それだけなのに、なんでこんなに嬉しいのでしょう。 彼氏。その言葉を聞くと身体が強張ります。理由は簡単です。 私が罪を犯している、から。

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