#ビジネスの金言 NO.2 これは、私のこれまでのビジネス人生の中で印象に残りその後の指針になった有り難い金言を皆さんにもシェアしていくためのコラムだ。 業務上の守秘義務もあるため、脚色を入れながら半分フィクション、半分ノンフィクションで綴っていこうと思う。 「 正論過ぎるから、響かない。」 ある時、会社の方針が明らかに間違っていると感じた事があった。 社を挙げた新規事業のチームに該当する事業の経験者は私だけだったため、自分の主張は間違いないと確信したうえで上司や経営陣に進言した。 が、全くもって方針は変わらず、事業の失敗は目に見えているのに何故?と憤り、いつも話を聞いてくれる先輩に鼻息荒く愚痴を言った。 穏やかで言葉少ない先輩が、珍しく険しい表情でこう言った。 「 それは、貴方が間違っているよ。 貴方の主張は、間違っていない。 だけれどもそれは、正論すぎるからこそ相手に響かない。 」 意味が分からなかった。 正論「だから」響かない? なぜ?? 逆じゃないの? 正論「なのに」響かないのは、相手の問題じゃないのか。 「 そうじゃないんだよ。他人がみんな貴方みたいに合理性だけで物事を判断する訳では無いの。 貴方の主張は、相手のプライドを傷付けてメンツを潰してしまってる。 だから、正しければただしいほど、まだ若く立場も低い貴方から言われることで、ことさら相手はYesと言えなくなるんだよ。 」 当時は、本当に納得がいかなかった。 そんなの、事業を成功させたいなら誰の意見だろうが聞くべきじゃないか!とより一層憤りを感じていた。 それから何年も経ち、また同じ事を繰り返し、ふと気が付いたことがあった。 ・・・あれ? 私は、正しいと思うこと「伝えること」をゴールにしてしまってはいないだろうか。 こうすれば絶対もっと良くなる!!と思うことをただ「伝える」だけでは、 正しいこと言ってやったぜ、スッキリ! にはなったとしても、事態は全くもって何一つ解決していないじゃないか。 ゴールは、正しいと思うこと(こうすれば絶対にもっと良くなる!)を「 実現すること 」にしなければ意味が無い。 その為には、伝えることがゴールではなくて、実現のためのキーパーソンに「Yes」と言ってもらい動いて貰うことが絶対に必要なのだ。 そこでやっと、数年越しにあの先輩の言葉の意味がストーンと腑に落ちた。 あの時私がしたことは、ただただ何も考えずにストレートに自分が思う正論を「伝えただけ」だった。 相手がどうしたらYesと言ってくれるかなど全く考えず、正しいのだから当然伝わるはず、と。 そんなことはあるはずがなかった。 そもそも「正しさ」は人の数だけあり、立場や利害関係により全く異なるものだ。 さらに、人間には感情がある。 頭では理解しても、感情が邪魔をすることだって大いにあるのだ。 だからあの時私は、伝えることをゴールにせず実現をゴールにして、相手のYesを獲得することを最優先にするべきだったのだ。 どうすれば、Yesと言いたくなるのか。 相手にとっての正しさは何か? 相手はどんな立場なのか? 相手にはどんな利害関係があるのか? 相手は私にどんな感情を持っているのか? もっともっと考えるべきことが沢山あったと気がついた。 例えば、 私ではなく、先輩の口から伝えて貰っていたとしたら。 例えば、 「正しい」「間違っている」ではなく、ただ粛々と数字のメリットだけを伝えていたなら。 もしかしたら相手はYesと言ってくれていたかもしれない。 自分が思う正しいことさえ伝えれば相手は動くはず、だなんて。 全くもって手抜き仕事をしていたのだなと深く反省した。 正直今でもつい、自分の「正しい」を相手も分かってくれるはずと思ってしまうことがある。 分かりやすく論理的に説明さえすれば伝わるとつい、思い込んでしまう。 うっかりそれで失敗したことは恥ずかしながら、何度もある。 そんな時にまた、先輩の言葉を思い出す。 「正論だから相手に響く訳では無いのよ」と。 なんと有難い言葉だったのだろう。 あれから転職し気付けば連絡先も分からなくなってしまったが、どこかでまた会えたならあの時の御礼を言いたい。 こんな面倒な指摘をしてくれる方なんて、他には誰もいなかった。 もしも今、あの頃の私のように「正しいのにどうして伝わらないの?」と憤る方がいたら。先輩に代わって私からこの言葉を送りたい。 正しさは人の数だけあり、 伝えることではなく、実現することがゴールだ。 ビジネスの金言/Episode2 【 正論に溺れない人 】
mcosmem
573
7
Monroe!の最新のInstagram
Instagramフォロワー数ランキング
953.9万
680.3万
672.7万
593.9万
586.5万
538.8万
495.3万
486.4万
442.5万
433.5万
433.4万
431.2万