虫歯予防はまず、エナメル質の理解から 【ポイント】 ・エナメル質の特徴 ・虫歯予防に必要なこと ・エナメル質を強くする栄養素 人の体の中で１番硬い部位は？ なんとなく骨が１番硬そうな気もしますが、実は歯の表面のエナメル質が１番硬いのです。水晶と同じぐらいの硬さです。 この歯の表面のエナメル質の性質をきちんと理解すると、どうすれば虫歯や知覚過敏が防げるか、どんな栄養素に注意すれば丈夫なエナメル質になるか、が理解できると思います。 簡単に歯の構造を説明すると、 エナメル質が歯肉の上にあって、口の中と接しています。 エナメル質の下に、象牙質、歯髄（みなさんが神経とよく言われるものです）があって、歯の根の周りは、セメント質でおおれています。(この辺りは動画を見て頂くと分かるかと思います) ここでポイントになるのが、 「エナメル質と、その他の歯の部位は全く違う」ということです。 【特徴1 】 エナメル質だけが、外胚葉由来 外胚葉？とは、 発生学という分野があって、 1個の受精卵から色んな組織に分かれていって、10月10日(とつきとうか)で私たちはヒトとして生まれてきます。 その時に、内胚葉、中胚葉、外胚葉と大きくわかれ、内胚葉からは、胃、腸、肝臓などができ、中胚葉からは、筋肉や骨ができ、外胚葉からは、皮膚や眼、耳などができます。 象牙質、歯髄、セメント質は、骨や筋肉と同じ中胚葉由来にもかかわらず、エナメル質だけが、外胚葉由来なんです。 口の中というのは、皮膚と同じように外と接していますよね。だから、外と接してる所に、外胚葉由来のエナメル質がある、ということなんです。 歯は、こうした二重構造になっています。これが、すごく大事なことです。 例えば、虫歯が進行して象牙質までいった、とか、歯茎が歯周病で下がってセメント質が露出したりする人がいます。 これは、発生学の立場で考えると、皮膚（外胚葉由来）から、骨や筋肉（中胚葉由来）が飛び出てる状態だ、ということです。 異常事態だ、ということですね。 歯が、違う性質のものがひっついてできてる組織だ、ということを理解してください。 歯は、入り口ですが、僕らは、出口に肛門という組織がありますよね。 肛門も、発生学上、歯と似ています。 内胚葉由来の直腸と外胚葉由来の皮膚がひとつの部位に集まっている場所なんです。 痔の人は、日本人の3人に一人という高頻度にいます。これは、こうした肛門の複雑な構造にもよる、と、考えられるのです。 【特徴2】 とにかく、硬い。 歯ぎしりの強い人は、体重の２倍くらいの力がかかってますが、それでも壊れてないんですよね。80年以上の食事の咬む力に耐える硬さがあります。 これも発生学ですが、歯が歯茎から出る前は、エナメル芽細胞という細胞があるんですが、口の中に出てくる頃にはなくなるため、実際のみなさんが見ているエナメル質は、96%がリン酸カルシウム（ハイドロキシアパタイト）という無機質の塊です。 とにかく硬い、です。 【特徴3】 神経や血管がない 虫歯なとでエナメル質に穴が空いても、神経がないので、痛くないんですね。 ただ、血管もないので一度穴があくと、昔は、再生しない、と言われていました。 以上を踏まえて、歯を守るための対策です。 ①虫歯は、エナメル質までで！ 虫歯は、専門的には、C0からC4に分かれます。 C0というのは、歯の表面のエナメル質が透明感を無くして白くなっている状態で、穴もあいていない状態です。   C1は、エナメル質が溶けて浅い穴が出来た状態ですが、症状は出ません。 この段階でも、歯医者によっては、削ってつめたりするので、気をつけてくださいね。 昔は、エナメル質は再生しない、とされていたので、早く削るのかいい、とされていたんですね。 痛くなるのは、象牙質にいったC2以降です。 先程の皮膚から骨が飛び出した話ですね。 実は、最近は、エナメル質だけの虫歯だったら、再石灰化というのがあって、ある程度元に戻ります。 これには、唾液が大事な役割を果たしています。 ②歯肉退縮を防ぐ セメント質が露出すると、知覚過敏になったりしますし、そもそも歯周病が進行しています。 歯周病対策が大切です。 歯周病は歯肉炎までで止めてください。 ③エナメル質に必要な栄養素をとる 永久歯が口の中に出てくるのは親知らずを除くと、12歳くらいまで、です。 それまでは、強いエナメル質の元を作る必要があります！ それは、ビタミンAです！ 外胚葉由来は、ビタミンAと、覚えておいてくだい。皮膚にも大切な栄養素ですね。 あとは、再石灰化に、必要なカルシウムなど、です。 ここでは、唾液がきちんとはたらけば、エナメル質には、もとに戻るシステムがあること、を覚えておいてください。 #歯 #エナメル質 #ビタミンA #カルシウム #虫歯 #歯周病 #唾液

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