. ー仕事を辞めたい話。ー 学生時代、 唯一の自慢は皆勤賞だった。 勉強が大してできた訳でもなければ、 運動が得意な訳でもない。 友達が多かった訳でもない。 人間関係で嫌な思いをしたこともあったし、 体育の授業がある日は憂鬱だった。 私には、ただ休む理由がなかった。 一時期クラスで孤立した時も、 気の合う友達を見つけて過ごすことができた。 苦手だった体育の授業は、 運動音痴をさらけ出してむしろネタにした。 風邪をひくこともなく、常に健康的だった。 友達の数は決して多くなかったけれど、 社会人になった今でも度々会うくらいの 気心知れた友達ができた。 だから私は、皆勤賞だった。 それが、社会人になった昨年から何かおかしい。 大学を卒業した私は、 歴史ある大手企業に就職した。 ずっと憧れていた住宅業界。 2ヶ月にわたる集団研修の後に営業所に配属され、長く続いている縦社会の一員になった。 ずっと憧れていた業界に就職できたのに、 心は日に日に曇っていく。 忖度と冷酷さに溢れたこの会社では、昇進や営業の名簿は上司からの好き嫌いで判断される風潮にあった。 上司に歯向かおうとする者は、たとえ傍から見て正論でも別の営業所に飛ばされていた。 悩んでいる新入社員には目もくれず、精神的に病んで休んでしまっても気付かないフリをする大人ばかりだった。 「お客様第一」と謳いながら、 会社本意の考えを持った大人に無理強いられる日々だった。 私の案件なのに、私の意思なんて聞くこともなく、私の納得していないことをしなければならないことが多かった。 この会社に、私の憧れる大人はいなかった。 学生時代に抱いていた憧れ、希望は、 一瞬にして失望に変わることがある。 私は社会人になって初めて失望を知った。 日々増していく虚無感と失望。 そして私は、 会社に行けなくなった。
shiro__yk
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